北杜市 オオムラサキセンター 公式サイト | 国蝶オオムラサキの生息地北杜市長坂町にある展示施設

アブの変死体を発見。その死因は…

update : 2016年5月26日 /

筆者のスタッフは、最近、夜の昆虫の観察に夢中で、昨夜も散策しておりました。
すると一匹のアブ(ハナアブ科ヒラタアブ属)の一種が目に留まりました。
20160526 - アブの変死体
うーん…、たたずまいがどうも不自然です。
通常、アブが物を掴む場合、符節で摘まむようにするのですが、
この個体は脛節と腿節で抱え込むようにしています。
また、腹部の先端から、交尾器が出てしまっています。
アブを突いてみても、動きません。
やはり、死んでいました。
それも草を掴みながら…。
スタッフは「ハエカビ目に侵された個体かな?」と思い、
菌類の専門家である筑波大学菅平高原実験センターの出川助教に連絡をとってみると、
ハエカビ目の”Entomophthora”属の一種だろうとご教授いただきました。
ハエカビ目は昆虫に寄生する菌類のグループです。
菌は、昆虫の体内で十分に菌体を増やすと、昆虫を高いところへ誘導し、
絶命させます。
高い場所のほうが、その後、胞子を分散する際に効率が良いためと考えられています。
なんと恐ろしい菌でしょう!
「虫は何も仕事をしないで、気楽なもので良いなぁ」と
考えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、虫達はこんな凄惨な危険と隣り合わせで生きているのです…。
 
ハエカビ、アブの同定をしてくださった、
筑波大学菅平高原実験センターの出川助教、
九州大学の加藤大智さんにお礼申し上げます。

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